日本では「もったいない」という言葉がある国と思えないほど、簡単に住宅が取り壊されています。
「取り壊した住宅の平均築年数」(平成8年国土交通省「建設白書」より)では、日本が30年、アメリカが55年、イギリスが77年という数字になっています。住宅のように、大きなエネルギーを費やす建築物が、他の国に比べて大変短いスパンで取り壊されているということについて、非常に残念に思います。
日本の不動産の査定には減価償却という算定方法がとられ、年月が経てば経つほど価値が目減りすると考えられるため、建物が古くなれば価値がないと誤解する人が、新築・リフォーム業者、不動産業者を含めて大変多いことも、取り壊しに歯止めがかからない要因となっているという背景があります。
上記の30年という数字は、寿命がきていようがいまいが、取り壊された住宅の平均築年数です。(東日本大震災より前の調査なので、震災での倒壊家屋はこの数字には入っていません。)では、取り壊されなかった場合、実際の住宅の寿命年数はどのくらいあるのでしょうか。
「建物の平均寿命推計」の最新調査(平成12年早稲田大学小松幸夫教授「住宅問題研究」より)によると人間の平均寿命を推計するのと同様の手法を建物で採用した場合、木造住宅の平均寿命は64年とされています。これが一般的な木造住宅の平均寿命と考えてよいでしょう。
普通に建てられて64年持つ住宅が、平均して30年ほどで取り壊されているという現実を、私たちはもう少し重く受け止めた方がよいかもしれません。
地震大国でありながら、数多くの歴史的建造物を遺してきた日本の伝統建築技術は、世界に誇る技術でもあります。建て方、使う建材次第では百年以上、千年持つ建物も存在します。日本で最古の木造建築物である法隆寺は、世界最古の木造建築物でもあります。しかし、現在建てられている木造住宅の平均寿命はおよそ64年。日本に古来伝わる伝統的な木造建築の技術と、一般住宅の建築技術には残念ながらかなりギャップがあるようです。
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