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有限会社 北斗建装

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リフォームQ&A

OBSラジオ『住まいのお悩み相談室』Vol.66〜67
毎週木曜 12:30〜12:40放送

Q1.我が家はスレート瓦です。塗装を検討中に業者から「縁切り」について説明を受けたのだけど、詳しく教えてほしい。「当社は塗装の際、最初から全部縁切りします」と言われた。
Q2.築10年の家に住んでおり、スレート瓦の塗装を考えています。塗装の見積もりをとった業者から「縁切りのために、あらかじめ先にタスペーサーをいれています」と言われた。説明を受けたが、何の為にいれるのかいまいちよくわからない。説明しているその業者自身がよくわかっていないような印象を受けた。自分にもわかるように教えてほしい。
(リスナーからのご質問 2016/6/2
&2016/6/9 放送)

 本来、瓦には当然隙間があるもので、水が入ってもその隙間から流れ出ていくというしくみになっています。また、瓦の隙間は屋根下地の通気性を確保するためにもある程度必要なものです。しかし隙間があるということは、当然雨の吹き込みのリスクがあるので、たとえ雨が吹き込んでも流れ出やすくするために、屋根勾配は四寸以上必要であるというのが従来からの建築の常識でした。田舎の方に行けばまだ八寸勾配以上の家もあります。屋根勾配は大きいに越したことはないと言う話は、以前の放送でも何度もお話しています。
 ところが、耐震面から屋根は軽い方がいいということで、屋根勾配を小さくする住宅が増えてきました。これは必ずしも耐震面のためではなく、経済効率を考えてのことであり、業者側の理由であることははっきりしています。

 例えば屋根勾配を四寸勾配から三寸勾配にしようとしたとき、通常の瓦で屋根勾配を小さくすると、瓦同士の隙間が大きいので吹き込みのリスクが大変あがります。そこで吹き込みのリスクを減らすために、隙間の少ないスレート瓦が流通してきました。通常の瓦と違い平たい板状(いたじょう)のスレート瓦は、瓦同士の重なりが大変大きく、瓦同士の隙間が小さいのです。
 経済効率のためと言いましたが、屋根の勾配が小さい方が、屋根面積が小さくなるため材料代が安く済みます。また屋根材が減る分、家もそれほど丈夫でなくて済む。そういったコストの面で屋根勾配の小さい家が増えてきたという現状があります。
 スレート瓦は軽くて強い、屋根勾配が小さくてもよい、価格が安い、施工が簡単…ということで、現在までに大変普及しています。しかし、屋根勾配が小さくてもよい瓦などというものは、存在しません

 さて、スレート瓦は塗装によるメンテナンスをしなければならないため、新築後10年ほどで塗装をするのが一般的です。その際、知識や経験のない塗装業者だった場合、ローラーで塗装してしまいます。特に最近の傾向としてローラー塗りで屋根の塗装をする業者が増えています。よく塗装業者が「当社はローラー塗装だから丁寧です。」などとホームページに書いているのを見かけますが、全くの逆で、吹付塗装の方が丁寧な塗装方法です。壁ならばまだしも、屋根の場合は特に吹付塗装で塗装する必要があります。(ローラー塗装と吹付塗装については以前の放送でも詳しくお話しています
 当社では吹き付けで塗装をしますが、吹き付けの場合は機械で霧状に噴射することで均一に塗装することができます。しかし専用の機械を買わなくてはいけませんし、機械の操作にそれなりに熟練しなくては扱うことができません。
 ローラー塗装は素人でも出来ます。美しく仕上げるのは、もちろん熟練していないとできませんが。ローラー塗装の場合、どうしてもでこぼこや溝に塗料がたまってしまいます。屋根塗装の場合ですと、瓦と瓦の間の隙間に塗料がたまってしまい、ただでさえ小さなスレート瓦の隙間を、塗料でつぶしてしまいます。これは吹付塗装ではまず起こらない、起こりにくい事なのですが、ローラーで塗るとそういう弊害が起こります。
 勾配の小さなスレート屋根の、瓦同士のただでさえ狭い隙間を、塗料が塞いでしまうとどういうことがおきるかというと、大したことのない雨でも屋根の裏側に雨が入り込む、毛管現象が起きやすくなってしまうのです。
 毛管現象とは、細い管(くだ)の中を液体が上昇していく(または下降していく)現象のことです。屋根勾配を小さくしているスレート瓦は、勾配が緩やかなために水がたまりやすく、そして隙間がふさがることにより毛管現象で水が上がり屋根の内側に入っていきやすいということで、雨漏りの大変多い屋根となっています。ということで、スレート屋根の場合、屋根を塗装した後に雨漏りが始まったというケースが大変増えてきました。
 その毛管現象を防ぐためにとられている対策が、縁切りという施工です。縁切りというのはどういうものかというと、目詰まりを起こした瓦の継ぎ目同士をカッターなどで切ってあげる事をいいます。そうすることによって、塗料によって塞がっていた瓦同士に微妙な隙間があくので、毛管現象で雨水があがるリスクは下がります。
 目詰まりを起こすと、通常の雨でも毛管現象で非常に雨が上がりやすくなってしまうのですが、更に屋根の裏側に入った水は、勾配が小さいのでなかなか出ていきません。その上、瓦の隙間が小さいために屋根下地の通気性が悪くなっていることも、スレート瓦の雨漏りの原因のひとつでしょう。
 そういった事が起きた時に初めて、「では縁切りしましょう」という処置をすることになります。最初から「全部縁切りします」という話は、ちょっとおかしな話なのです。

 ところが縁切りをしても、もう上の方まで塗料が目詰まりを起こしてしまっている場合は、なおかつ水が上がるケースがあります。その時に、もう少し隙間をあけてあげる事があります。毛管現象で水が絶対上がることがなくなるように、隙間をさらに大きくするわけです。そのために、タスペーサーという部材をいれる、これも縁切りの一種です。
 昔タスペーサーと言うものがない時代には、薄い板状のもの、アイスキャンデーの平たい棒のような薄い部材を瓦と瓦の間に差し込んで、隙間を作るという施工をしていました。現在はメーカーがタスペーサーと言う名前でそのような薄い板状のものを製造・販売しております。
 縁切りで雨漏りが解消されない場合に、タスペーサーを入れる。ただ、このご質問にあるように最初からタスペーサーを入れるというのは、主客転倒です。

 タスペーサーを入れると何が問題になってくるかというと、毛管現象で常時水が上がるのを防ぐことができる。しかし、そもそも勾配の小さい屋根だからできるだけ隙間を開けたくなかったはずです。そのために隙間の少ないスレート瓦という材料を使ったわけです。それにも関わらず、わざわざ隙間をあけるということは、今後は台風や強い風をともなう雨の際、吹き込みリスクが上がってしまうという事になります。
 お客様には必ずそこをご説明しなければなりません。我々はお客様に、「タスペーサーをいれたことで毛管現象によって常時水があがってくる雨漏りは防げますが、今まで吹き込みがなかった強い雨のときの吹き込みリスクは増えますよ」と、必ずお伝えしています。最初から言い訳するような工事は本当はしたくないのですが、100%の結果を得られない工事であるということは、正直に言うべきであると私は思っています。
 「塗装する前に当社では瓦1枚につき2枚ずつタスペーサーを入れております」などという業者というのは、縁切りやタスペーサーを施工する意味を全くわかっていないのではないかと思います。しかし、そのようなことを売りにしている業者が、実は昨今増えていることに大変驚いております。
 スレート瓦の塗装の際、最初からタスペーサーを入れるという事を売りにしている。雨漏りもしていないのに、最初から隙間をあけて吹き込みリスクを増やしている。これはもう屋根に傷をつけているようなものです。
 僕らがそういったケースに関わった場合にはしっかりとご説明するのですが「タスペーサーを入れます」ということを売りにしている業者から説明を受けたお客様からは「北斗さんは塗装する時タスペーサー入れてくれないの?」と聞かれることもあります。あたかもタスペーサーをたくさん入れるから親切丁寧な業者であると消費者の方が勘違いされているケースも多々ありました
 業者が催す講習会や塗装勉強会と称したものなどで、そういったまちがった説明を堂々と話している業者もあります。これはちょっと悲しい事実です。
(良心的な業者ももちろんおります。ある新築業者ですが、「当社ではスレート瓦は使いません」とはっきり言っています。極端な例ですが、その業者は、スレート瓦のデメリットは改善しようがないので、使用しないということです。ちなみに、陶器瓦を使用するとホームページに明記しています。また別の業者では「当社ではスレート瓦を使う際も、最低5寸勾配以上を標準仕様にしています。」ということを言っています。どちらの業者も、一般的な住宅メーカーでは標準仕様となっている、勾配の小さいスレート瓦では住宅の耐久性は下がるとはっきり言っています。こういった業者が、数は少ないのですが存在するということは、せめてもの救いであると感じています。)

 少しでもご説明すると、この縁切りやタスペーサーを最初から入れることを売りにしている業者がいかにおかしいか、わかっていただけると思います。そんなに難しい専門的な話ではなく、すべての事柄の意味をちょっと考えてもらうだけで、皆さん簡単に理解していただけるはずです。
 しかしひとつ道具ができて販売されると、この場合はタスペーサーという道具ですが、そういった間違った使い方や認識が独り歩きしてしまうという傾向があります。これはタスペーサーに限らずそういった事例がたくさんあります。このような間違いを、まことしやかにどこかの業者がホームページなどに載せているケースも沢山あり、間違った情報があたかも建築の常識のようになってしまうという現状があります。
 ホームページに載っているからといって、正しい情報とは限らないのはわかりきったことですが、立ち止まってよく考えていただければと思います。
 タスペーサーは何のために入れるのか。スレート瓦は何の為にいままで隙間が少なかったのか。こういうことをよく考えたら誰にでもわかることなのです。特に、業者はプロと名乗るわけですから、部材の使い方や工法などはきちんと考える義務があると私は思うのです。
 メーカーで売っているから安心かというと、使いかた次第では有効であるとか、止むを得ず使うものなど、様々にあるわけです。タスペーサーは、まさに止むを得ず使用する材料であるということを、しっかり理解してほしいと思います。

   

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