以前、和室の改修とバルコニーの床の取り替え工事をご依頼いただいたG様から、母屋の屋根の劣化がひどいので相談したいというお電話をいただきました。
G様宅は、ご両親がS社で40年以上前に新築された建物で、新築当初は屋根はスレート屋根、外壁は金属サイディングの造りでした。
今回ご相談された屋根は、ご両親の代で工事したS社のU瓦についてでした。U瓦はスレート屋根が劣化した際に、スレート屋根の上に被せることで将来塗装が不要になると、宣伝されたカバー工法の商品です。しかし塗装不要どころか、わずか数年で塗膜が剥がれ、ひび割れや欠けが生じてしまう欠陥屋根材なのです。
劣化が軽度の場合は塗装で保護することができますが、G様宅の場合は劣化が進みすぎており、塗装では対応できないことをお伝えしました。
本来、住宅の屋根には、今後塗装が不要な陶器瓦を施工することが望ましいと考えます。しかし、次の理由からG様宅の屋根には陶器瓦に葺き替えられません。
@屋根勾配が小さすぎる。
4寸勾配(水平方向に10進み、それから4立ち上がった屋根の傾き)以上が必要ですが、2.5寸勾配しかない。
A屋根の構造(軽量鉄骨の構造)が陶器瓦の重量に耐えられない。
そこで費用対効果を踏まえ、U瓦を撤去し、スレート屋根の状態にした後にガルバリウム鋼板でカバーすることをご提案致しました。G様はS社にもすでに相談されており、S社からも同社の金属屋根材を使ったカバー工法を提案されておりました。
後日のお見積もりのご説明で、工事内容を詳細に説明させていただいた結果、当社の施工内容を評価して下さり、工事の発注をいただきました。また、屋根の工事以外にも外壁等の塗装、門扉の取り替え、カーポートの取り替えなどの工事もご発注下さいました。
倉庫の屋根が波型スレートであり、劣化が進んでいることもあり、母屋と同様に既存の屋根材の上にガルバリウム鋼板でカバーする工事をご依頼いただきました。
※カバー工法とは、傷んだ屋根や壁をカバー材で覆う工法のことです。新興産業が売り出した『ぱっとヤネデリア(屋根のカバー工法)』『ぱっとサイデリア(壁のカバー工法)』という商品が有名ですが、被せるだけで早く安く綺麗にできるという謳い文句で日本中で売れ、大手ハウスメーカーや工務店までもが追随して類似商品を売り出しました。新興産業はその後倒産しましたが、その工法による結露や雨漏りなどで現在も多くの消費者が悩まされています。販売当初は「一生塗装が不要、一生剥がれない」と言って普及しましたが、初期の頃のものは全て剥がれている現状です。現在、多少改良されたカバー工法の商品が出ていますが、やはり比熱が低いために建材と建材の間で結露を起こし構造体内部を傷め、継ぎ目からの雨漏りも生じます。しかし、重ねて張っている分、メンテナンスが非常にしずらいという根本的な欠陥を持つ工法なのです。塗装不要どころか、早いスパンで塗装し続けなくてはならず、屋根と外壁のカバー工法はどちらも、全くお勧めできるものではありませんので、当社では原則、施工は行いません。
当社が施工する場合は、今回のように既にカバー工法をしている住宅などで、例外的にやむを得ない場合に限ります。 |
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