塗装工事は、建築工事の中でも非常に蔑ろにされることの多い分野です。しかし、塗料は化学製品であり、またメーカーによって開発され商品化される塗料は数百種類を超えます。塗装工事は建材に適した塗料を膨大な塗料の中から正しく選定しなければなりません。また正しく施工することで塗料を建材に長くしっかりと付着させることができます。美観はもちろん建物を風雨や紫外線による劣化から守るという大変大きな役目を担っています。同じ建材に施工するのでも、劣化状況や以前の塗装が間違っていないかなど、ケース毎に条件が異なり、状況を正確に見極めた上で、塗料や施工方法などを決めていく作業が大変重要になります。そのためには、経験はもちろん、専門的かつ化学的な知識も不可欠な分野です。
しかし現状では、刷毛やローラーさえ持てれば誰でも塗装職人になれるというように建築業界の中でも塗装業界は大変敷居が低くなっており、塗料の仕様書もまともに読めないような人でも「プロの塗装職人」と名乗ることができます。塗料の選択間違いによる塗料不適合を起こしている住宅を見かけるたびに残念に思います。